コーチングの必須スキルの1つに「傾聴」があります。
傾聴力を高めると、クライアント以外にも家族や友人、職場、恋人などすべての人間関係を改善することができます。
しかし、実は傾聴はかなり奥が深く、実行するのはプロコーチでも難しいとされています。
そこでこの記事では、傾聴力を高めるための方法を5つ紹介します。
傾聴とは

傾聴とは、相手の言葉に全力で耳を傾け、心の声を受け止めることです。
つまり、傾聴を身につけるとは、「聴き上手な人」になるということです。
「きく」という言葉には、「聞く」と「聴く」という2つの漢字があります。
「聞く」という言葉には「音が自然に耳に入る」という意味を持ちます。
一方で、「聴く」という言葉には「理解しようと自ら進んで耳を傾ける」という意味があります。
「聴く」という漢字が当てはまる傾聴を身につけることで、相手の心の声を聴くことができるようになります。
傾聴力を高めると日常の人間関係も改善します。
コーチングとは

コーチングとは「クライアントを目標達成まで導くための手段」になります。
コーチングはビジネス分野をはじめ様々な分野で活用されています。
コーチングが有効な事例
- マネジメントスキルを獲得したい
- 夏までに3kg痩せたい
- 海外旅行資金100万円貯めたい
- 万年補欠からレギュラーになって活躍したい
- 子供に読書週間を身につけてほしい
このようにコーチングは分野問わず、「目標を達成したい!」と思っているすべての方の目標達成をサポートすることができます。
コーチングの詳しいやり方はこちらの記事をご覧ください。
コーチングにおける傾聴

コーチングでは、質問を通じて相手に新たな気付きを与えて、成長を促します。
コーチングにおいて、コーチが行う行動はざっくり2つあります。
それは「質問」と「傾聴」です。
誤解を恐れず言うと、「質問+傾聴」こそがコーチの役割なのです。(※厳密にはほかにもたくさんあります。)
ただ、2つの行動をとる割合は異なります。
私のこれまでの経験上、1回のコーチングセッションでの質問と傾聴の割合は大体「2:8」か「3:7」くらいです。
つまり、コーチはコーチングセッションにおける大部分を傾聴に費やしているのです。
コーチの役割は「質問+傾聴」。
傾聴が必要な理由

コーチングでは傾聴を特に重要視しています。
なぜなら、傾聴を行うことで、クライアントの本心を引き出すことができるからです。
例えば、自分が友人に真剣に悩みを打ち明けている場面を想像してみてください。
自分が必死に悩みを打ち明けているときに、友人から
「分かるわー、俺も〇〇でさ~」
「でもそれって、相手は何も悪くなくない?」
などと、急に自分語りされたり、全否定されたらどのように思いますか?
おそらく多くの方が、ただ自分の話を最後まで聴いてほしかったのに…と思いますよね。
このことは、コーチングにも当てはまります。
相手の話を傾聴できないコーチは、クライアントから「この人にだったら何でも話せる」と信頼してもらえないですよね。
傾聴力の高いコーチは、クライアントから信頼してもらえます。
傾聴力を高める5つの方法

傾聴力を高める5つの方法がこちらになります。
傾聴力を高める5つの方法
- クライアントの話を最後まで聴く(ツッコまない)
- 話を先読みしない
- クライアントの意見を全肯定する(共感する)
- ノンバーバルコミュニケーションを意識する
- 沈黙を怖がらない
これらの5つの方法を意識してコーチングを行うことで、傾聴力が飛躍的に高まります。
それぞれのポイントを詳しく解説していきます。
傾聴力アップはプロコーチの近道です。
クライアントの話を最後まで聴く(ツッコまない)

傾聴力を高める方法の1つ目が「クライアントの話を最後まで聴く」になります。
自分でも気づかないうちに、クライアントの話を遮って質問をしたり、ツッコミを入れてしまうコーチは意外と多いです。
あなたも相手が話している途中で、
「それって〇〇ってこと?」
「つまり何が言いたいの?」
と相手の話を遮ってしまった経験が、あるのではないでしょうか?
人間は本来、自己表現をしたいという欲求があるので、相手の話を一方的に聴くのは、実はかなりのストレスがかかります。
クライアントの話を最後まで聴くコツは、自分を「映し鏡」だと思うことです。
コーチはできるだけ自分を透明にし、なおかつ、クライアントをそのまま映す鏡になる感覚を持つように意識しましょう。
はじめは難しいと思うかもしれませんが、回数を重ねるごとに自然と相手の話を最後まで聴くことができるようになります。
コーチは自分を消して、相手を映し出す鏡になることに徹しましょう。
話を先読みしない

傾聴力を高める方法の2つ目が「話を先読みしない」になります。
先読みとは、クライアントが話をしている最中に
「この話の結末はたぶん〇〇だから、次に◇◇と質問しよう。」
のように、相手の話を予測して、その後の展開を考えているということです。
この状態は「内的傾聴」と言って、コーチの意識が自分に向いている状態になります。
当然、コーチが内的傾聴をしていると、クライアントに
「この人、本当に私の話を聴いているのかな?」
と思われてしまい、クライアントが本心を話しにくくなってしまいます。
コーチングにおいて、コーチは、意識がクライアント全体に向いている状態、いわゆる「全方位的傾聴」を心がけましょう。
全方位的傾聴を行うコツですが、クライアントが話しているときはクライアントの言葉はもちろんのこと、目線やしぐさ、話し方、声のトーン、表情などに意識を全集中しましょう。
それこそ、先読みする余裕なんてないくらい、クライアントに意識を向けるのが理想とする状態です。
全方位的傾聴を心がけましょう。
クライアントの意見を全肯定する(共感する)

傾聴力を高める方法の3つ目が「クライアントの意見を全肯定する」になります。
これは「クライアントに共感する」と言い換えることができます。
曹洞宗通大寺住職で傾聴喫茶を営まれている金田諦應(たかねたいおう)氏は自身の著書で次のように語っています。
「傾聴とは、相手の話に共感すること」
クライアントの話に共感するのは、簡単に思えるかもしれませんが実は結構大変な作業です。
なぜなら、コーチは時に、自分の価値観と正反対の意見にも、心から共感する必要があるからです。
クライアントの話に共感するコツは、自分の人生のフレームを全て取り払うことです。
人生のフレームワークをクライアントが語る物語によって柔軟に変化させることで、共感しやすくなります。
まずは相手の語ることを「全肯定」しましょう。
ノンバーバルコミュニケーションを意識する

傾聴力を高める方法の4つ目が「ノンバーバルコミュニケーションを意識する」になります。
ノンバーバルという単語は「非言語」という意味を持ちます。
ノンバーバルコミュニケーションには例えば次のようなものがあります。
ノンバーバルコミュニケーション例
- 視線
- 表情
- 声のトーン
- 姿勢
- しぐさ
ノンバーバルコミュニケーションを駆使することで、コーチはクライアントに対して
「あなたの話をしっかり聴いていますよ」
というメッセージを送ることができ、クライアントが安心して話せる雰囲気をつくることができます。
いきなりすべてを使いこなすのは難しいかもしれませんが、まずはクライアントと視線を合わせることから始めていきましょう。
会話スピードもなるべくクライアントに合わせましょう。
沈黙を怖がらない

傾聴力を高める方法の5つ目が「沈黙を怖がらない」になります。
初対面の人と話すとき、沈黙に耐えられなくて、必死に会話と会話の間を埋めようとした経験が誰しも1度はあるのではないでしょうか?
しかし、コーチングにおいては、沈黙をそれほど怖がる必要はありません。
むしろ、クライアントが話し終わった後、沈黙することで、クライアントが追加の情報を話してくれることは意外と多いです。
コーチングでは、クライアントが「もっと話したそうにしている」と感じたときは、自分が話すのをぐっとこらえてみましょう。
クライアントが話し始めるまで待つことで、クライアントの考えがまとまり、今まで気づけなかった本心を語ってくれることでしょう。
沈黙が多いほど、思考の機会も増えます。
まとめ

この記事では、傾聴力を高めるための方法を5つ紹介してきました。
今回紹介した方法がこちらになります。
傾聴力を高める5つの方法
- クライアントの話を最後まで聴く(ツッコまない)
- 話を先読みしない
- クライアントの意見を全肯定する(共感する)
- ノンバーバルコミュニケーションを意識する
- 沈黙を怖がらない
コーチング力を高めることで、クライアントとの信頼構築が進み、クライアントの本音を引き出せるようになります。
今回紹介した方法を意識してコーチング力を高めていきましょう。
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